シリコンバレーのIoTにおけるスタートアップの動向。今後の展望は?

近年、IoTやAI、VR、AR、自動運転技術、ドローンといったさまざまな新しいテクノロジーが登場し、注目を集めています。シリコンバレーにおいても、これらのテクノロジーに対しての関心は高く、関連する新たな企業が次々に生まれています。今回はIoTの分野に関して、シリコンバレーではどのようなタイプのスタートアップが増えているのか。また、今後の展望について、元技術者であり、エンジェル投資家として長年シリコンバレーに関わる、ノバテック株式会社の取締役 平強氏に話をお聞きしました。

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ノバテック株式会社 取締役 平 強氏

平氏によれば、「シリコンバレーでは、IoTにより、いろいろなセンサーから得られた大量のデータを解析するビジネスが流行している」といいます。

広がるIoTの技術。データをどのように活用するかが重要

ウェブ接続型のサーモスタット、煙感知器、セキュリティカメラなどのスマートホーム機器を製造するNest LabsをGoogle が32億ドルで買収したのは2014年の話。2015年には、家電やさまざまな機器との連携を行い、音声認識で操作を可能とするスピーカー型音声アシスタント「Amazon Echo」が発売され、アメリカで大人気の商品となっています。このように、IoTはビルや工場などに設置された高度なシステムや機器だけにとどまらず、テレビや冷蔵庫といった家庭にある当たり前のモノにまで浸透してきました。シリコンバレーでも、こういったIoT向けのさまざまなデバイスの開発は活発に行われています。しかし、平氏は「ハードで儲けるのが難しくなった。IoTに使うハードやセンサーは日本やアジアの企業から調達してくる。シリコンバレーの企業が自分たちでハードを作って商売しようというものではない。得られたデータからの解析でビジネスをする。AIやビッグデータといった技術を使い、顧客動向だとか、どういうものが売れているかなど、そういったデータを売ってビジネスにする企業が多くなってきた」といいます。
IoTでは、センサーから得られたデータをはじめ、さまざまなデバイスから入力される膨大なデータが集まります。個々のデータは単なる数値にすぎず、大きな意味は持ちません。温度センサーからのデータならば、今温度が何度であるのか。ドアの開閉のセンサーであるなら、ドアが開いているのか閉まっているのか。売り場のレジからのデータであれば、何時何分に何が売れたのか。わかることはそれだけで、現状把握にとどまります。
しかし、膨大なデータを組み合わせて解析することで、それぞれのデータの相関関係が導きだされ、データに価値が生まれます。今、シリコンバレーでは、このようなAIを使ったビッグデータ解析といった、データアナリシスをしてどのようにビジネスに展開していくかが重要になりつつあります。
平氏はこうもいいます。「日本国内でも、センサーをつけただけで何もできていない企業が多い。データの使い方がうまくない。データを集めて、そのデータをどのように解析してどのように利用するか。IoTビジネスを展開するにはそこが重要だ。仕組みを作るのがうまい人がシリコンバレーには多い。IoTによって得られるビッグデータは宝の山なのだろう。うまく解析して誰に何が売れるか予測している」

IoTの発展とともに高まるセキュリティビジネスの需要

続いてシリコンバレーのIoT分野における今後の展望についてお聞きしました。さまざまな分野でIoTデバイスが使われていく流れは今後も変わらないだろうと平氏はいいます。あわせて、得られたデータを解析するビジネスも拡大していきます。
しかし、IoTの広がりとともに大きな問題となることがあります。それはさまざまなIoTデバイスのセキュリティです。平氏はIoTのセキュリティ問題の例として、ネットに接続できる家庭用の小型監視カメラの事例を挙げています。低価格のため多くの場所で使われていたそのカメラは、セキュリティの対策をせずに初期設定のまま使用していた人が多く、外部から第三者に簡単にアクセスされてしまいました。それにより、安全を監視するためのカメラが、逆に悪意あるものに利用されてしまうことになったのです。平氏は「IoTでネットワークの入り口が一気に増えた。それだけセキュリティにかかる手間が多くなる。そうなればそれに対応したビジネスが生まれるだろう」といいます。
先の監視カメラの例でいうならば、低価格で販売されていたカメラで多くの被害があれば、問題を解決するためより高度なセキュリティ機能が搭載されたカメラが開発されます。開発されたカメラは以前の低価格のものよりも高価にはなりますが、問題のある低価格のものは売れなくなり、新たに開発されたセキュリティのしっかりしたカメラを多くの人が求めます。このように、IoTのデバイスの増加とともに、単に取り付けてデータをとれればいいというものでなく、よりセキュリティが強化された安全なものを作ろうというマーケットができてくると平氏はいいます。
ここ数年、IoT分野に関しては、シリコンバレーに限らず多くの投資が行われ、人材も多数流入しています。今後しばらくはこの傾向が続き、さらに市場は大きく拡大すると各方面で予測されています。IoTを支えるハードやソフト、IoTを利用したサービスも含め、IoTは今後もさまざまな方向で目が離せない分野です。

平 強氏のブログ、「挑戦せよ。」は<こちら