モノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)。介護の現場でもその活用が期待されています。今後さらに高齢化が進み、介護を支える人の数が減少。介護現場での負担も大きくなることが予想され、その問題をIoTにより解決しようとさまざまなシステムの開発が進んでいます。
そもそもIoTとはどのようなものか、改めて整理すると、3つの要素に分類されます。

  • 対象の情報を収集するセンサーや、何らかのフィードバックを行う各種機器のデバイス
  • デバイスとネットワークのやりとりを行うゲートウェイ
  • ネットワークで送られてくるデータを蓄積、解析し、結果を返すクラウド

この3つの要素がIoTには必要です。従来は対象を人の手や目で確認して記録し、それを元に判断して何らかのアクションを起こしていました。これがIoTであれば、人に頼らず自動で行えるようになるのです。24時間対応が必要な介護の現場であれば、24時間必ず誰かが見ていなければならず、大きな負担となりますが、IoTにより、この負担が大幅に削減される可能性があります。

介護現場で要求される3つの項目

介護の現場で要求される確認項目として、「離床行動の検知」「徘徊防止」「転倒の検知」の3つが挙げられます。これらを、現状、家族や介護スタッフなどが定期的に確認し、その都度対応をとっています。IoTを使った介護では、この3つの状態をモニタリングできるセンサー類を備え、データを収集します。具体的にどのようなデータを収集するのか、3つの項目ごとに見ていきます。

①  離床行動の検知

ベッドに寝ているのか、起きているのか。また、ベッド上での呼吸や心拍数、血圧などのバイタルサインの検知も要求されます。
具体的な例としては、枕やベッドに重量を検知するセンサーを取り付ける方法があります。重量の変化からベッドから離れたのか、寝ている状態なのか、ベッド上で動いているのかなどが検知できます。他には、ベッドの下からマイクロ派を使って脈拍を測る方法や、ベッド横に置いたマットでベッドから降りたことを検知する方法もあります。

②  徘徊防止

ベッドから離れた後に建物内にいるのか、それともどこか外に行ってしまったのかを知ること。また、仮に外に出て行った際、どのような服装だったのか、靴は履いているのかなどの状況を知るという要求もあります。
具体的には、ドアに開閉センサーをつけて、入り口に設置したカメラと連動させる方法が考えられます。靴にGPSセンサーを取り付ける方法も検討されています。

③  転倒の検知

ベッドから離れて倒れていないか。また、倒れた場合、どこで倒れているのかも知る必要があります。
具体的には、リストバンドに搭載したジャイロを使い、高さや角度が急激に変わったかを検知するセンサーが開発されています。また、赤外線によるカメラを使い、人の動きを解析して転倒したのかを判断する技術も開発が進んでいます。

これらを使えば、人が24時間見ていなくても、異常を検知して直ちに知らせることができるので、介護の負担を大きく減らすことが可能になります。また、センサーからのデータが異常かどうかの判断については、AIの活用も進められています。センサーだけではベッドから離れた状態であることしか分かりませんが、AIを使うことで、単に離れたのか、それともベッドから転落した深刻な状況なのか、長時間戻らない徘徊の状態なのかが判断されるのです。

IoTの介護分野への活用

このように、介護の負担を減らせる可能性があるIoTの技術ですが、問題も多くあります。例えば転倒防止を検知できるリストバンドですが、介護される側が自らの手で外してしまうことが多く、肝心な時にデータをとれないという問題が起こります。画像を使って転倒を検知するシステムはまだ価格が高く、カメラ自体が見張られているような印象を持たれて敬遠されるケースも多いので普及は進んでいません。徘徊防止のGPSセンサーも同様に、自ら外してしまう場合や、身に着けるのを忘れてしまう場合があり、徘徊を防止しきるのが難しいため普及は進んでいません。
今後IoTが介護現場に浸透していくためには、技術的な課題や価格面も含めて解決しなければいけない問題は多くあります。また、介護にIoTを使うということに対しての、意識面での解決しなければいけない問題も多数あります。高齢化と介護を支える人の数の減少は今後も確実に進み、何らかの方法でそれを解決しなければなりません。介護を効率よく、なおかつ負担の少ない形で行うためには、人の力だけではなくIoTの活用が欠かせません。ソフトとハードを総合的に運用し、問題を1つ1つ解決していくことが急がれます。

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